認知症は高齢期の代表的な精神疾患のひとつです。ご家族が認知症になってしまったら、今までとは異なる介護に不安や心配が尽きないことでしょう。
トータルライフケアでは認知症を患っている高齢者を対象とした専門的な支援を実施しています。
今回は認知症について改めて解説すると共に、トータルライフケアで実施している具体的なケア内容もご紹介します。
認知症とは
認知症はさまざまな原因によって、記憶や判断力など、認知機能が低下し、日常生活を送る上で障がいが出る脳の病気です。
認知症になると、ひとり歩き(徘徊)、暴言、暴力などの周辺症状と呼ばれる症状が現れます。
現状、認知症の根本的な治療方法は見つかっておらず、進行を抑制したり緩和することが主な支援となっています。
認知症介護はどんなもの?
認知症が進行すると、日常生活においても支障が生まれる可能性が高くなります。
だからこそ、ご利用者さまの安全と生活の質を保つために、さまざまな角度から支援を行う必要があります。
普段とは異なる言動がみられたり、人によって症状も異なることからも認知症介護は難しいといわれていますが、何よりもご利用者さまやご家族の気持ちを汲み取った介護を行うことが大切です。
特に身体だけではなく心のケアも含めた幅広いサポートを行うことで、症状の悪化を防ぎ、改善につなげることができます。
トータルライフケアでは症状から「認知障害型」、「環境不適応型」、「身体不調型」、「葛藤型(抑制・孤独)」、「遊離型」、「回帰型」の6つの認知症タイプよりタイプ別判定を行い、改善のためのケアを実践しています。
認知症ケアの基本的な内容
物忘れやひとり歩きなど認知症にはさまざまな症状がありますが、まずは認知症について知り、適切なケアを行うことが大切です。
症状に対して怒ってしまうなど、相手にストレスを与えてしまうと認知症の悪化も考えられます。
今回は認知症ケアの基本的な内容をご紹介します。
相手のペースに合わせて見守る
認知症の方は全てができなくなるわけではありません。
自分自身でできることは相手のペースに合わせて見守ることも必要となります。
特に食事や排泄、着替えや趣味に関わること、普段から行っていた家事など日常的な内容はつい手を貸してしまうことも増えるかもしれませんが、あくまでもご自身でできることは行ってもらうことが大切です。
ゆっくりとした動作でも急かさずに待っていることもポイントでしょう。
相手がわかりやすいよう簡潔に話す
認知症の方は認知機能の低下によって、話している内容や言葉がすぐに理解できない場合もあります。
そのため、相手がわかりやすいよう、簡潔に話して伝えることが大切です。
早口で話したり、難しい内容を一度に伝えてしまうと混乱してしまうことが考えられます。
話すときはゆっくりと、理解しやすい言葉で伝えることを心がけると良いでしょう。相手のことを思いやりながら話すことで、意味が伝わりやすくなります。
失敗や間違ったことを責めない
認知症の方は失敗や間違ったことをする場合も考えられますが、頭ごなしに怒るのは認知症の悪化につながる場合もあります。
病気によって起きた失敗もあれば、本人の考えがあって行動している場合もあるため、相手の話をしっかりと聞くことも大切です。
何よりも相手の気持ちを尊重することが必要となる認知症介護では、相手を認めることが求められます。
スキンシップを頻繁にとる
認知症の方が孤独を感じることがないように、スキンシップを取ることも有効な方法だといわれています。
触れられるのが嫌ではない方であれば、手を握ったり、背中をさすったりすると良いでしょう。
スキンシップが嫌だと感じられる方でも、こまめな声かけや会話を行い、ひとりきりの状態が続かないように心がけることが大切です。
急な環境の変化は避ける
認知症の方に対して、急な環境の変化は避けた方が良いでしょう。
引越しや普段と違う環境に出かけることは、認知症の方のストレスになるため、症状を緩和させるためにも同じ内容で環境を維持することを意識しています。
症状によって同居や施設の利用を検討されている場合は、短期間の宿泊・利用からはじめるなど、少しずつ環境の変化に慣れていけるような工夫をすることが大切です。
トータルライフケアのケア事例
トータルライフケアで実施している具体的な認知症ケアの事例をご紹介します。
環境不適応型の方へのケア
とあるご利用者さまは、デイサービスのご利用日初日に、嫌だ、帰りたい、などの拒否行動をされていました。環境不適応型の人は、新しい場所や人に対して不安や恐怖を感じる傾向にあります。
そこで、場所と人の認知症状を改善するようなケアを実施。特定のスタッフが担当者となり何度も声掛けすることで、ご利用者さまが安心できるような空間と場所、時間を提供するようにしていきます。
これを繰り返すことで、多くの方は時間の経過とともに落ち着きがみられ、やがて場所や人に慣れていきます。
身体不調型の方へのケア
身体不調型というのは脱水症状や便秘になりやすい人が多いです。このタイプは興奮しやすい傾向があり、怒りっぽくなったり口調が強くなったりします。水分が身体の1〜2%程度減ると興奮しやすく、結果午後から夕方にかけてその影響が出やすくなります。
午前中にしっかり水分を取ってもらえるようなケアプランを立て、日々実行していくことで、徐々に落ち着きがみられ、興奮していることが少なくなりました。
また、日頃のアセスメントも重要です。ご利用者さま一人ひとりを観察すると、便秘が3〜4日続いていることに気づいたり、自律神経の過剰な興奮でイライラしていると気づくことがあります。
ご利用者さまの症状の原因をみつけ、それらを改善できるようなケアを習慣化することで、認知症の症状も落ち着いてくることがあります。
まとめ
今回は認知症について改めて解説すると共に、トータルライフケアで実施している具体的なケア内容もご紹介しました
認知症介護だけではなく、介護を行う上ではご利用者さまの意思を尊重することが大切です。
適切なケアを行うことで、症状の悪化を防ぎ、より良い状態で日常生活を送ることを目指しましょう。
トータルライフケアでは認知症のご利用者さまとご家族のサポートを行っています。
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